体温が下がると免疫力低下に

健康的な平熱は

 健康的な人間の平熱は、「約36.5~37℃」といわれています。人間の体にあるさまざまな器官や機能は、この体温の範囲内で正常に働くように構成されているからです。

 栄養の吸収、エネルギーの代謝、老廃物の排出など、生きてゆくうえで欠かせない数多くの働きは、体内で起こる化学反応によって生じます。

そのため、人間は約36.5~37度の体温を維持して、できるだけ化学反応を起こりやすい状況(活性化)を作っているのです。


体温維持にエネルギーが多く使われている

エネルギーの75%は「体温維持」に使われている。

人間が生命を維持するための活動の1つが「代謝」機能です。代謝とは、食べ物によって摂取された栄養から「エネルギー」を作る化学反応です。

代謝は、「基礎代謝」と「生活活動代謝」の2つがあります。「基礎代謝」は、脳・心臓・呼吸器・消化器などの内臓機能を自然に動かすために消費されるエネルギーです。

一方、「生活活動代謝」は、日常生活のなかで、自ら体を動かすことで消費されるエネルギーです。

摂取した食べ物から作られるエネルギーの約30%が「代謝」に使われています。残りの約70%は「熱」に変換されます。熱になって、体温の維持に使われています。


昔より体温は低下している

 人間は、体内の化学変化によって作られたエネルギーの多くを使って「約36.5~37℃」の体温を保つよう努力をしています。なぜ、そうまでして体温維持に努めるのかというと、体温が約1℃低下すると、代謝は約12%、免疫力は約30%、体内酵素は50%もダウンしてしまうからです。健康な日本人の平均体温は、「36.89℃」といわれてきました。ところが、2008年の調査では、平均体温が「36.14℃」であることが報告されています。つまり、日本人は以前にくらべて「約0.75℃」も体温が低下している状態です。

これは健康の上では歓迎されない結果であり、むしろ良くない傾向といえるでしょう。「低体温」の人が急激に増えていることのあらわれです。


なぜ、体温が下がると、体が弱くなるのか?

体温が低下すると、免疫力が著しく低下します。それは「白血球」の働きが鈍くなるからです。

白血球には、マクロファージ、NK細胞、好中球、好酸球、好塩基球、T細胞、B細胞といった細胞が含まれています。

これらの細胞は、「免疫細胞」と呼ばれ、体のなかに侵入してきたウィルスや細菌を排除する働きがあります。

体温の低下によって、こういった免疫細胞による働きが鈍くなります。そのため、感染症や生活習慣病、さらにガンにかかるリスクが高くなります。他にもさまざまな病気を引き起こす恐れがあります。

ところが、体温を1℃上げると、免疫力は「約5倍」にアップするといわれています。


原因は「食生活の変化」と「運動不足」

現代人の体温が低下した原因は、

一つは「食生活の変化」

(1)偏った食品の摂取

(2)冷たいドリンクの飲み過ぎ

(3)食事の摂りすぎなど食生活の乱れは体温の低下につながります。

もう一つは「運動不足」による筋肉量の減少

現代人の運動不足は、もはや慢性的といわれるほどです。体温の約40%は「筋肉」によって作られています。筋肉が減少すると、それだけ熱を作る働きが弱くなるのです。


低体温を招く原因

体温を招く原因は、食生活や生活習慣からくる。

冷暖房完備の生活

シャワーだけの入浴

体を締め付ける下着

運動不足による筋力低下

過度のストレスによる自律神経やホルモンのアンバランス、ストレスは体温を調節する自律神経にも影響する。

夜型生活、朝食抜き、ダイエットなど乱れた食習慣、朝食を抜くと午前中の体温が上がりにくくなり、学習や労働意欲の低下、能率の低下となる。高脂質、高タンパク質の過剰摂取、ビタミン、ミネラルの不足