からだと頭を「糖化」させない

カロリー摂取方法を見直そう

カロリーになる三大栄養素の糖質・蛋白質・脂質の摂取割合は、長い間おおむね6対2対2の割合で摂取したいというのが栄養士さんの長い間の指導でした。

 

 しかし、増え続ける糖尿病、がん、認知症の原因は、この割合で食事すると糖質が多すぎる結果になっているせいではないかといわれ始め、この割合を普段は3対5対2程度の糖質制限食にしたらどうか?

との提案が徐々に受け入れられてきました。

(がんになってしまったら3ヶ月程度はO対5対5)にしてください

エネルギー摂取量
エネルギー摂取量

  糖質を制限する摂取量 

  糖質・蛋白質・脂質

  3 : 5 : 2

からだが生まれ変わるケトン体

 この糖質制限をしつつ、蛋白質と脂質のとり方に工夫すると体内でケトン体が生まれ、細胞内でミトコンドリアがブドウ糖とケトン体からエネルギー物質であるATPを持続的に生み出すハイブリッドエンジンとなって、いわゆるケトン体質になり、健康長寿に一歩近づける展望が開けるようです。

 

私たちはでんぷんなどのブドウ糖の多糖類である糖質食品を食べると、胃腸で消化酵素によりブドウ糖に分解され、それが腸から吸収されて細胞内で共生しているミトコンドリアに食べられ、ATPと呼ばれるエネルギー物質に変換されて、そのエネルギーで生きています。 ミトコンドリアが食べてエネルギーとなる物質は、ブドウ糖だけでなく、糖質が不足した時に、肝臓で脂質が分解されてできる脂肪酸からできるアセト酢酸、βヒドロキシ酪酸、アセトンの3種類が、ケトン体で、エネルギー源として利用しています。

 ケトン体とは、おなかが空いてダーグーなる時の空腹時や睡眠時などに脂肪酸が燃焼する時、肝臓で作られる物質のことで、心筋、骨格筋など人体の多くの組織のエネルギー源となります。逆に飽食が続いている時はケトン体は生まれません。


ケトン体はすべての人に日常的なエネルギー源

血液検査でケトン体を調べようとすると、「β−ヒドロキシ酪酸濃度+アセト酢酸濃度=総ケトン体濃度」として、データが出てきます。糖質を普通に食べている人の、血中総ケトン体の基準値は、「26〜122μmol/L」くらいになります。糖質を食べている人でも、日常的に24時間、血中ケトン体は存在しているわけです。

 

 糖質摂取開始後2時間までは、心筋や骨格筋の主たるエネルギー源は食事由来のブドウ糖ですが、糖質摂取開始後4〜5時間くらい経過した空腹時には、心筋や骨格筋の主たるエネルギー源は「脂肪酸が燃焼してできるケトン体」に切り替わっていきます。


  つまり糖質を摂取している人でも、夜間睡眠時とか、日中でも空腹時は、心筋や骨格筋の主たるエネルギー源は、実はブドウ糖ではなく「脂肪酸−ケトン体」なのです。夜間睡眠時や空腹時などにもブドウ糖をエネルギー源としているのは、赤血球、脳、網膜など特殊な細胞だけです。つまり、ケトン体はすべての人類において、ごく日常的なエネルギー源として利用されています。この生理学的事実を多くの医師、栄養士がご存じないのは大変困ったもので、医療現場で混乱のもととなっています。

空腹時にケトン体になる
空腹時にケトン体になる

長寿遺伝子につながる

飽食が続いている時はケトン体は生まれません。

ケトン体は抗酸化の働きもし、生まれるのは長寿に関係するサーチュイン遺伝子の発現によりますので、毎日一回は空腹感を味わう生活というのは健康長寿にとてもプラスなことなのです。

 

エネルギー源をブドウ糖だけに頼っていると、血液中や肝臓にため込まれたブドウ糖を使い切ってしまったときには、ガス欠を起こししてしまいます。

 すると、むしょうにおなかが減って何か食べたくなったり、指先が震えたり、体がだるい、集中力が低下する、怒りっぽくなるといった症状がありす。

これは血糖値が下がりすぎたことによって起こっています。

甘い物やごはん、パンなど糖質を含むものを食べると、これらの症状は改善されます。

そのため、集中力を高めたり、仕事の効率をよくしたりするためには糖質をとったほうがいいと言われていますが、それは大きな勘違いです。

 エネルギー源をブドウ糖に頼っているから、血糖値が上がったり、下がったりすることで抑えがたい食欲におそわれたり、集中力が低下したり、イライラしやすくなったりと、振り回されてしまうのです。


ケトン体を利用できるようになれば、血糖値は乱高下することがなくなります。

食欲に振り回されるることもなく、集中力が低下したり、むやみに感情的になったりすることもなくなるでしょう。

 

糖質制限した食事とりつづけるとケトン体質になり、血液の状態がよくなり、脳の働きが変化し、食欲は正常にリセットされ、異常な食欲に悩まされることもなくなってきます。

糖質制限を開始した当初は食欲が強く、いろいろなものが食べたくてしょうがないですが、しばらく続けると、甘いお菓子やパン、麺類、ごはんなどへの興味が弱まり食欲が正常になります。

 ケトン体とは、私たちの体の中でつくられるもの。

誰もが持っているのに活用されていない、「頭や体を働かせ、もう一つのエネルギー源」です。糖質を減らすとはたらき出す「ケトン体」によって、余分な脂肪がどんどん燃え、体も頭もより若く、より健康になれるのです

糖質制限をするとケトン体に
糖質制限をするとケトン体に