糖尿病に野菜・魚が良いわけ

どんな食事をしている人が健康で長生きをしているのか?

 最近、この問題でメタアナリシスといって、大量のデータをランダム化比較試験して決論を出す方法が注目を浴びています。

 それによれば、世界的な規模のメタ解析では、野菜と果物、魚、無精白穀物、ナッツ類をよく食べる人が現実に健康長寿をしているということがわかってきたということです。

 

 よく、肉を食べないと長生きできないという声を聞きますが、もともと肉食動物の遺伝子を持っていないヒトにとっては肉を食べない人が元気で長生きというのは、当然の帰結という感じです。

 そして野菜をよく食べる人が糖尿病にならないということもわかっています。それが何故かということも最先端の研究で合理的説明がなされる時代にもなってきたのです。肉食が多いと、我々の腸に棲み着く腸内細菌はいわゆる悪玉菌が増え、彼らが出すアンモニアガスとか硫化水素ガスなどで、自家中毒的に体を壊す人が多くなります。

この有毒ガスで膵臓にダメージが与えられれば、血糖値が高くなってもインスリンが適時適切に分泌されにくくなり糖尿病になる人が増えるのは、ある意味当然す。これが、肉食が多い食生活の欧米化が糖尿病を増やすということです。

 

○糖尿病になるならないは腸内細菌次第

この腸内細菌の研究が進むにつれ、糖尿病対策に役立つ知見もあれこれ増えてきました。

 ヒトを糖尿病にしてしまう腸内細菌もいれば、糖尿病の人のに血糖値を安定的に下げ、糖尿病から脱却させるように働く腸内細菌もいることがわかって来つつあるのです。

 実は、腸は膵臓にインスリンを出せという命令スイッチがつくられる場所でもあるのです。この命令スイッチに食べたものが流れ着くと、その場でスイッチを押すことになり、このスイッチが押されれば血糖値の高低に関係なくインスリンが膵臓から血中に放出されます。

 お一人様約2キログラムも持っている腸内細菌には、この腸壁にインスリンスイッチの数を増やすものが知られており、中でも水溶性食物繊維を餌としている善玉菌がその役割を担っていることがわかってきたのです。

 この水溶性食物繊維は海藻類や大麦に多く、野菜では  般的に葉菜類よりゴボウ、ニンニク、タマネギ、ニンジンなどの根菜類や、キノコ類に比較的多く含まれています。

また、納豆・オクラなどのねばねば食品にも多く含まれています。

 特にダントツに多い大麦を3割程度入れた麦ご飯は糖尿病の人にお勧めです。

最近はもち性を持つ大麦(押し麦はうるち性)のもち麦も人気ですが、押し麦でももち麦でも水溶性食物繊維に富んでいればこそで、糖尿病の方にとっても福音となる情報です。

 従来の糖尿病食事療法というと、古くはカロリー制限、今は糖質制限など、血糖値を上げるものを「食べない」ということを主眼にした方法が有名でしたが、これらの善玉菌を増やす野菜を食べよという考え方は、これとは一線を画した、必要なものを足して「食べよ」というタイプの考え方で、いかにして腸壁のインスリンスイッチの数を増やすかという方法論であり、それをしてくれる善玉の腸内細菌をより優性にするけ具体策です。

 

 

○食物繊維を摂ろうという理由と肉より魚

 また、食物繊維を摂る理由が、従来の考え方は、糖質の吸収を妨害し、吸収速度を遅らせるために摂ろうというものでしたが、今回学ぼうとしている考え方は、それが間違いというのではありませんが、腸壁にインスリンスイッチを増やす善玉腸内細菌を増やす餌を腸に送り込もうという観点からの方法論なのです。

 この観点から見ると、魚はブタや牛などの肉より力強くインスリンスイッチを押す能力があるのでお勧めというわけです。

 従って魚は、ご飯などの、インスリンを必要とする糖質食品より先にスイッチ地点に到達して欲しいので、ご飯に先立って食べるべき食品なのです。

 逆に、ご飯より後から食べるとその価値は半減以下というのです。

ご飯を後にというのは、おかず全般との関係でもいえます。

おかずを先に食べ、ラストにご飯などの糖質を食べるのが血糖値管理の上では有利です。

 

○食べ順が大事なのは

口から食べたものは、先に飲み込んだものが先に胃を通過して腸内を流れ出すのです。 魚とご飯で考えるなら、まず魚をよく噛んで味わって食べ、飲み込んでからご飯を口に入れ食べ

ましょうということです。

 さらに野菜を考えると、最初は野菜から食べましょうということです 魚とご飯で考えるなら、まず魚をよく噛んで味わって食べ、飲み込んでからご飯を口に入れ食べましょうということです。

 さらに野菜を考えると、最初は野菜から食べましょうということです 野菜→魚→ご飯の順番で食べましょうという話は、最初に野菜が腸内を流れ出し、この野菜を餌とする善玉にのバクテロイデスなどの腸内細菌群が腸内インスリンスイッチを増やし、また、野菜がそのスイッチを押して進んでいくので、後から腸内を流れてくる糖質が腸壁から血中に吸収されて血糖値が上がる頃には、膵臓からのインスリンの量が血中で増えるので、それが働いて筋肉などの細胞に血糖が順調に吸収されるので、血糖値が上がりすぎないですむからです。

 この効果は、食事の時に水溶性食物繊維に富む食品を一品増やすことを続けるだけで効果が期待でき、現に血糖値もグリコヘモグロビンの値

も下がり、無理なく続けている間に体質改善ができるという方法なので、糖尿病の方には大いなる福音です。

いずれにしろ、食事は、たとえば良い音楽を聴きながら楽しくよく噛んでゆっくり食べましょう。 これが腸内細菌も喜ぶ食べ方だそうです。